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後半戦に入ってマクラーレンは、ベネトンと同じフォード最新型エンジンを獲得したものの、
ウイリアムズはおろか、ベネトンにも大きく水を開けられる。 セナは金曜、土曜共にスピンをしてまで限界を攻めるが、 それでもPPプロスト(ウイリアムズ)からは1.8秒差。 同じエンジンを積むシューマッハー(ベネトン)にも1.2秒の差をつけられ予選4位。 ちなみにチームメイトのアンドレッティは予選11位。 マクラーレンはコーナーでのシャシーの安定性に問題があるようだ。 また低速コースのここハンガリーで、この年登場したダブル(メゾネット)ウイングが再び流行。 ストレート・スピードはそのままで、ダウンフォースを10~20%ほど多く得られるとか。 マクラーレンはモナコでは使用しなかったが、ついにハンガリーで採用した。 決勝は、フォーメーション・ラップでプロストが出遅れて最後尾。 一方セナは、6位スタートのベルガー(フェラーリ)にも一瞬先行を許すが、 1コーナーでインを突き、ベルガーとシューマッハーを一気にかわしヒル(ウイリアムズ)に次いで2位浮上。 このまま絶妙のライン取りで後続を押さえ込み、隙あらば1位ヒルにも攻め込む… コーナーが多く抜きどころが少ないハンガロリンクで好レースが期待された。 しかしすぐにセナのマシンに異変が起きる。 スロットルにトラブルが生じ、エンジンにもミスファイアが起き始めた。 そんな中、チームメイトのアンドレッティが16周目、スロットルトラブルでリタイア。 そしてセナのマシンもその2周後の18周目に同じくスロットルトラブルで完全に止まってしまった。 苦渋の表情で無線のやり取りをするロン・デニス。マクラーレンにとって苦しい夏場が続く。 セナはマシンを降り、寂しそうにコースを見つめ、とぼとぼとピットに帰っていく。 常に全力で戦っているからこそ、リタイアや敗戦は誰よりも辛いのだろう。 でもこの哀愁漂う「うしろ姿」も、セナの生き様や魅力がにじみ出ていて私は好きだ。 また最後尾スタートのプロストは、一時4位まで浮上するが、リアウイングのトラブルで再び最下位。 さらにプロストの修理作業が1位ヒルのタイヤ交換と重なる。チームはヒルを優先させ、 プロストはマシンをピット脇に移動されしばし待たされるという屈辱を味わう。 その後プロストはピットでかなりの時間を費やしたものの再びコースに戻り、 FLまで記録して7周遅れの最下位(12位)でフィニッシュ。 ヒルは上位陣が脱落したというのもあったが、念願の初優勝を飾った。  | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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PP  | 
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'14"631 | 
2位  | 
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'14"835 | 
3位  | 
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'15"228 | 
4位  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1'16"451 | 
5位  | 
リカルド・パトレーゼ | ベネトン・フォード | 1'16"561 | 
6位  | 
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'16"939 | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
|
優勝  | 
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚47'39"098 | 
2位  | 
リカルド・パトレーゼ | ベネトン・フォード | 1゚48'51"013 | 
3位  | 
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1゚48'57"140 | 
4位  | 
ディレック・ワーウィック | フットワーク・無限ホンダ | 1Lap | 
5位  | 
マーティン・ブランドル | リジェ・ルノー | 1Lap | 
6位  | 
カール・ベンドリンガー | ザウバー | 1Lap | 
リタイア  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 17周、スロットル | 
FL  | 
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'19"633 |