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マクラーレンはこのポルトガルGPからパワーブレーキというシステムを導入。
これで1周あたり約1秒も速くなったという。マクラーレンはシーズン終盤にきて大幅に戦力をアップしてきた。 そしてドライバーに関してもアンドレッティに代わりハッキネンがド参戦することが発表された。 ハッキネンは先にマクラーレンと契約するも、セナの加入によりレースには出られず、 地道にマシン開発のテストやサポートレース等に取り組んできた。 ハッキネンは半年間の苦悩や努力、様々な想いをこのレースにぶつけていく。 しかし金曜予選が終わるとパドックの話題はハッキネンからプロスト(ウイリアムズ)へ。 プロストが93年シーズンをもっての現役引退を発表した。 また、ほぼ同時期にセナがマクラーレンを離脱しウイリアムズ入りをほのめかすコメント。 一説では、セナの存在がプロストの引退会見を早めたとも言われている。 金曜からの各セッションではセナとハッキネンがチームメイト同士、 僅差の争いを繰り広げる。  | 
セッション  | 
セナ  | 
ハッキネン  | 
金曜フリー  | 
1'13"868 (3位) | 1'13"857 (2位) | 
金曜予選  | 
1'12"954 (3位) | 1'13"956 (4位) | 
土曜フリー  | 
1'13"434 (2位) | 1'13"817 (4位) | 
土曜予選  | 
1'12"491 (4位) | 1'12"443 (3位) | 
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最終的にセナはわずかながらハッキネンに及ばなかった。
セナは「渋滞に引っかかって運が悪かった」とコメント。
さらに、ハッキネンがフォードの最新エンジン・シリーズ8を使用したのに対し、
セナは一つ古いが安定感のあるシリーズ7を搭載しアタックしていた。
しかしそのシリーズ7に金曜・土曜ともにトラブルが発生し、パワーダウンを余儀なくされていた。
不運にも見舞われ、セナは予選後、かなり苛立っていたという。 決勝レースでは、PPを決めたヒル(ウイリアムズ)がフォーメーションラップでしばし動けず最後尾へ。 こうしてPPがいないまま各車スタートをきった。 前が空いたハッキネンは好ダッシュを決めてプロストを牽制。セナも肉薄するが、 大外から一気に1コーナーを奪ったのは予選5位のアレジ(フェラーリ)だった。 1~2コーナーの段階では、アレジ、ハッキネン、セナ、プロストの順。 しかしすぐにセナはハッキネンの隙をつき2位へ浮上、予選での僅かな遅れを一気に取り返した。 セナはアレジを追いしばし2位を走行。 ストレートで速いフェラーリだったが、セナも必死に喰らいついていく。 このままの位置関係で行けば、ピットイン時などでの逆転、そして優勝も十分にありえた。 しかし20周目、セナのエンジンが突然白煙を吹き上げる。 セナはマシンをすぐにコース脇に止め、リタイアをした。 レースはシューマッハー(ベネトン)が中盤のピットインの順位変動時に いつの間にかトップに躍り出てそのまま優勝、通算2勝目。 プロストはシューマッハーを追い詰めるものの最後は2位でフィニッシュし、 4度目のワールドチャンピオンを決めた。プロストにしては珍しいフランス国旗を持ってのウイニング・ラン。 ハッキネンはアレジとのバトル中にクラッシュするものの、 予選・決勝を通してその走りは生涯で最も生き生きとしていたように感じた。 セナはリタイアに終わったが、マクラーレンの戦力向上とハッキネン加入効果により モチベーションが完全復活。 後に94年のウイリアムズ移籍も発表されるが、 消化レースとなる終盤2戦もマクラーレンで気合の入った走りを見せるのであった。  | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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PP  | 
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'11"494 | 
2位  | 
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1'11"683 | 
3位  | 
ミカ・ハッキネン | マクラーレン・フォード | 1'12"443 | 
4位  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 1'12"491 | 
5位  | 
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1'13"101 | 
6位  | 
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'13"403 | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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優勝  | 
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1゚32'46"309 | 
2位  | 
アラン・プロスト | ウイリアムズ・ルノー | 1゚32'47"291 | 
3位  | 
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚32'54"515 | 
4位  | 
ジャン・アレジ | フェラーリ | 1゚33'53"914 | 
5位  | 
カール・ベンドリンガー | ザウバー | 1Lap | 
6位  | 
マーティン・ブランドル | リジェ・ルノー | 1Lap | 
リタイア  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・フォード | 19周、エンジン | 
FL  | 
デイモン・ヒル | ウイリアムズ・ルノー | 1'14"859 |