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F1は南米のメキシコから、同じく初夏の南半球・オーストラリアへ。
ポイント上、3人がチャンピオンの権利があるという混戦の中で最終戦を迎えた。 
マンセル(ウイリアムズ)70ポイント マンセルは3位以内でフィニッシュすれば無条件で王座獲得という、圧倒的に有利な状況だった。 一方セナは、マシンポテンシャル的にウイリアムズやマクラーレンに劣るものの、 2回の優勝、そして誰よりも多い8回のPPを獲得するなど、常に光る走りを見せていた。 第14戦でチャンピオンの可能性は完全になくなったが、 レーサーとしての本能に従い、いつものように精神を研ぎ澄ませ全力を尽す。 予選では、金曜日は予選用マシンでクラッシュしたため、レース用マシンでアタックし6位。 土曜日はレース用タイヤでタイムを上げていくが、 セッションが進むにつれて気温・路面温度が上がりすぎたのか、コースコンディションは悪化し、 途中からタイムアップならず3位に留まる。 決勝朝のウォームアップ走行ではトップタイムをマークする。 しかしロータスのマシンは燃費が厳しく、 ウイリアムズやマクラーレンのペースにはついていけないことをこのときすでに実感していた。 決勝レースでは、セナが好スタートを切って一気に1位にジャンプアップした。 しかし燃費のこと、レース全体のことを考えると無理のできないセナは、 すぐにピケとロズベルグ(マクラーレン)に成す術なく抜かれていく。 さらに4周目にはプロスト、7周目にはマンセルにも抜かれ、セナはしばし5位を走行する。 セナは、チャンピオンがかかっているウイリアムズ、マクラーレンの2チーム4台の後ろで中盤まで我慢の走行。 しかし42周目エンジンがブローし、何もできないままリタイアを余儀なくされた。 レースはマンセルがまさかのタイヤバーストで脱落。 最後はプロストとピケの一騎打ちになり、2位ピケが必死の追い上げを図るが4秒届かず。 強力なホンダエンジンに対し、不利とされていたプロストが大逆転し2年連続の王座に輝いた。 こうしてF1史上でも稀に見る劇的なシーズンは終わった。 またこのレースで82年のワールドチャンピオン、ロズベルグが引退。 最後はタイヤバーストに終わったものの、中盤までレースを引っ張り、 チームメイトのプロストの王座獲得を演出する走りを見せた。 セナはこのレースでは残念ながら不運なトラブルでリタイアしてしまったが、 シーズンを通して速さとともに安定感も増し、チャンピオンへの階段を確実に昇っている感がした。 ロータスは長年親しんだJPSカラーともお別れし翌年からはキャメルイエローに一新。 さらに中嶋悟とホンダエンジンを得る。 そして翌年からはフジテレビのF1中継も始まる。 セナは日本のファンにも「若き才能」を見せつけ、またレースへの献身的な姿勢など、 日本人はセナに共感・魅了され、空前のF1ブームを築いていくのだった。  | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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PP  | 
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ホンダ | 1'18"403 | 
2位  | 
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'18"714 | 
3位  | 
アイルトン・セナ | ロータス・ルノー | 1'18"906 | 
4位  | 
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1'19"654 | 
5位  | 
ルネ・アルヌー | リジェ・ルノー | 1'19"976 | 
6位  | 
ゲルハルト・ベルガー | ベネトン・BMW | 1'20"554 | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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優勝  | 
アラン・プロスト | マクラーレン・TAGポルシェ | 1゚54'20"388 | 
2位  | 
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1゚54'24"593 | 
3位  | 
ステファン・ヨハンソン | フェラーリ | 1Lap | 
4位  | 
マーティン・ブランドル | ティレル・ルノー | 1Lap | 
5位  | 
フィリップ・ストレイフ | ティレル・ルノー | 2Laps | 
6位  | 
ジョニー・ダンフリーズ | ロータス・ルノー | 2Laps | 
リタイア  | 
アイルトン・セナ | ロータス・ルノー | 43周、エンジン | 
FL  | 
ネルソン・ピケ | ウイリアムズ・ホンダ | 1'20"787 |