1992年9月25-27日
ポルトガル アウトドローモ・ド・エストリル
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前戦のイタリアGPでF1からの撤退を発表したホンダにとっては、
ここポルトガルが第2期活動のヨーロッパ最後のレースになる。
ホンダスタッフが関係者・プレスに振舞う、恒例の「天ぷらパーティー」も
これが食い収めになる。 金曜日、セナはホームストレート・エンドでウイングのマウントが割れ、300km超でいきなりマシンが操縦不能。 コース上で数回転してそのままコース外の芝生へ。 ここは広いランオフエリアになっているので壁にクラッシュすることは免れたが、 非常に危険なシーンであった。金曜予選順位は4位。 セナは気を取り直して土曜予選に挑む。 マクラーレン・ホンダのマシンを丹念にセットアップし、現状では最高のパフォーマンスを引き出した。 土曜だけではパトレーゼ(ウイリアムズ)を押さえて2位。 それでも2日間の予選全体ではマンセル(ウイリアムズ)に1.2秒差の3位。 チームメイトのベルガーにいたっては、2秒以上の差をつけられ4位。 これがこの年のウイリアムズとマクラーレンの自力の差か? 決勝レースの朝、1年間休養していたプロストが翌シーズンのウイリアムズをドライブすることが発表された。 チャンピオンシップは早々と決まってしまったが、ストーブリーグはこの後も熾烈を極めることになる。 セナは翌シーズンF1に残るのか?それとも休養するのか? 翌シーズンのことも気になるが、一旦マシンに乗ってしまえばセナは厳しい眼差しでレースに集中する。 レースはウイリアムズ勢が無難なスタート。 セナは一瞬、ベルガーに先行を許すが、すぐに3位を奪い返す。 序盤はマンセルとパトレーゼに続き単独3位を走行。 中盤に入り、セナは早めに動き出す。21周目、タイヤ交換のためピットイン。 マクラーレンのピットクルーは4.95秒というこのシーズン最高のタイムでセナをコースへ送り出す。 セナはペースアップしてウイリアムズ勢のピットインを待つ。 ウイリアムズ勢は24周目にパトレーゼがピットイン。しかしマシンを持ち上げるジャッキが折れてしまい、 大きなタイムロス。セナを押さえるどころか、ベルガーにも先に行かれてしまう。 マンセルは30周目にピットイン。こちらもややぎこちないものの、9秒台でコースイン。 セナは猛追していたが、マンセルに3秒とどかなかった。 中盤は1位マンセル、2位セナ。3位争いはベルガーとパトレーゼ。 ベルガーとパトレーゼはテール・ツゥ・ノーズで好バトルを繰り広げていたが、 43周目、最終コーナーを立ち上がりホームストレートに入ったところで、 ベルガーの後輪にパトレーゼの前輪が乗り上げ、パトレーゼのマシンは一瞬、宙に舞った。 幸いパトレーゼにケガはなかったが、一歩間違えれば大惨事になっていた。 接触の原因は、後ろにパトレーゼがいるにもかかわらず、ベルガーが何の合図も出さず スピードを落としてピットに入ろうとしたためだ。 レースはマンセルが独走。セナは再び大差をつけられ、しばし単独で2位を走行し安泰かと思われた。 しかし中盤以降、3度のピットインを繰り返す。 これはフロントウイングのエンドプレートが正しくはめられていなかったためだ。 結局、合計4回のピットインを余儀なくされた。 セナの度重なるピットインの間に、ベルガーとブランドル(ベネトン)に先行される。 しかしセナは「まるで3輪走行をしているようだ」というマシンでファステストラップを記録して追撃。 残り3周でブランドルをパスし、3位を確保した。 マンセルはシーズン9勝目。当時のシーズン最多勝記録を更新。 ベルガーとセナもそろって表彰台へ。 撤退するホンダのためにも、マクラーレンチーム内の士気も上がってきた。  | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
|
PP  | 
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1'13"041 | 
2位  | 
リカルド・パトレーゼ | ウイリアムズ・ルノー | 1'13"672 | 
3位  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'14"258 | 
4位  | 
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1'15"068 | 
5位  | 
ミハエル・シューマッハー | ベネトン・フォード | 1'15"356 | 
6位  | 
マーティン・ブランドル | ベネトン・フォード | 1'16"084 | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
|
優勝  | 
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ルノー | 1゚34'46"659 | 
2位  | 
ゲルハルト・ベルガー | マクラーレン・ホンダ | 1゚35'24"192 | 
3位  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1Lap、4度のピットイン | 
4位  | 
マーティン・ブランドル | ベネトン・フォード | 1Lap | 
5位  | 
ミカ・ハッキネン | ロータス・フォード | 1Lap | 
6位  | 
ミケーレ・アルボレート | フットワーク・無限ホンダ | 1Lap | 
FL  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'16"272 |