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2週連続のアメリカ大陸シリーズは、アメリカ・デトロイトに舞台を移す。
市街地に特設されたコースで、毎年のように多くのドライバーが荒れた路面に足を取られてアクシデントにつながっている。
この年には再舗装されたが、セッションが進むにつれてすぐに荒れた路面に戻ってしまったようだ。 しかしそんな悪コンディションのときこそ、セナの走りが一段と冴え渡る。 セナはこの荒れた路面とコンクリートに囲まれたコースを誰よりも精確に、かつ果敢に攻めた。 土曜日はタイムアップならなかったが、金曜最速で6戦連続でPP。 スターリング・モスとニキ・ラウダの記録に並んだ。 ちなみにセナは金曜予選開始直後は、 エンジンのブーストコントロールを予選用ではなく 誤ってエコノミー(決勝用低燃費仕様?)にセットしていたようだ。 しかしそれでもチームメイトのプロストよりも速いタイムだった。 セナは自らの計算と実際のタイムとに開きがあり、セットの誤りに気付き、 その後は自らのタイムを一気に1秒以上縮めた。 それでもセナは「もっと速く走れた」と、貪欲にさらなる速さを見据える。 決勝レースでは、スタートで予選2位のベルガー(フェラーリ)が好スタートを切るが、 セナはしっかりと1位のポジションを守る。 チャンピオンシップのライバルであるプロストは、ブーツェン(ベネトン)に抜かれ5位に落ちるものの、 慎重・無難にオープニングラップを終える。 そしてプロストは静かにジワジワと順位を上げていく。 ブーツェン、アルボレート(フェラーリ)、ベルガーをかわしていき、 7周目にはセナに次ぐ2位に浮上する。 プロストはセナ追撃の態勢を整えるが、次第にギアボックスのトラブルが発生。 しかしトラブルが発生しなくても、市街地や特異なコンディションでは圧倒的にセナにアドバンテージがあるだろう。 セナはプロストとの差をどんどん広げていく。 セナは中盤のタイヤ交換でも首位を譲らず、結局、全周回1位で2位プロストに40秒近くの大差をつけて優勝。 デトロイトでは3年連続の優勝となり、改めて市街地コースでの強さを証明した。 
「精神的にも肉体的にもきついレースだった。暑さとウォールとの闘いだからね」 (「生涯 アイルトン・セナ」より) プロストとは依然として12点の大差がついていたが、このときすでにセナはプロストを凌ぐ速さと共に、 プロストに匹敵する強さも身につけていたのかもしれない。  | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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PP  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1'40"606 | 
2位  | 
ゲルハルト・ベルガー | フェラーリ | 1'41"464 | 
3位  | 
ミケーレ・アルボレート | フェラーリ | 1'41"700 | 
4位  | 
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'42"019 | 
5位  | 
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1'42"690 | 
6位  | 
ナイジェル・マンセル | ウイリアムズ・ジャッド | 1'42"897 | 
ドライバー  | 
チーム  | 
タイム・備考  | 
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優勝  | 
アイルトン・セナ | マクラーレン・ホンダ | 1゚54'56"035 | 
2位  | 
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1゚55'34"748 | 
3位  | 
テイリー・ブーツェン | ベネトン・フォード | 1Lap | 
4位  | 
アンドレア・デ・チェザリス | リアル・フォード | 1Lap | 
5位  | 
ジョナサン・パーマー | ティレル・フォード | 1Lap | 
6位  | 
ピエルルイジ・マルティに | ミナルディ・フォード | 1Lap | 
FL  | 
アラン・プロスト | マクラーレン・ホンダ | 1'44"836 |